秋冬の一着を考え始める頃に
昨日は一日店の中で作業をしていた
朝晩の空気が少しずつ変わり始めて
秋冬の服をそろそろ考えようかというご相談も
この時期になると自然に増えてくる
スーツを新しく仕立てたい
ジャケットを一着足したい
パンツだけを見直したい
コートを作るなら今から考えたい
入口はそれぞれ違う
けれど秋冬の一着は
寒くなってから慌てて選ぶよりも
少し季節の気配を
感じ始めた頃に考える方が面白い
生地を見て
今の自分が着たい色や
質感を確かめながら
着る場面や手持ちの服との
つながりをゆっくり整理できるからだ
重さのある生地
起毛した生地
表情のある織り
秋冬の素材には
見た目だけでは分からない魅力がある
実際に手に取ってみると
思っていたより軽いこともあれば
写真では気づかなかった
奥行きが見えてくることもある

店では一着を仕立てる前にも
お直しの作業が続いている
昨日も手を動かしている途中で
針を思い切り指に刺してしまった
しっかり流血したあとに
老眼かなと本気で思った
笑えるようで笑えない話だけれど
細かな仕事を続けるには
道具も目も手も
きちんと整えておかなければならない

お直しは古くなったから
仕方なく行うものではない
気に入っている一着を
もう一度気持ちよく着るために整える仕事でもある
少し直せばまた着られる服がある
手を入れることで前より出番が増える服もある
新しい一着を考える時間と
今ある一着を直して着続ける時間は
別のようでいてつながっている
秋冬の仕立てを考える時も
まずはクローゼットを見直してみると
次に必要なものが案外はっきりしてくる
仕事用のスーツを新調するのか
休日にも着られるジャケットを足すのか
少し傷んだパンツを直してもう一度穿くのか
何を増やすかだけでなく
何を残して着ていくかまで考えると
一着の選び方にはその人らしさが出てくる
だからこそ相談の最初から
答えを急いで決める必要はない
生地を広げてみて
今の気分を言葉にしてみる
そこから形を考えていく時間も
仕立ての一部だと思っている
どちらにも
自分が何を大切にして
着ていきたいのかを考える時間がある
大人になってから夢中になれて
誰かと語り合える趣味を持つことも同じだと思う
好きなものを深く知る人同士が集まると
そこから自然に仕事の話が始まることがある
互いが大切にしているものを知っているからこそ
会話の先に新しい考えや仕事が生まれる
服も趣味も
長く向き合うほど
自分の輪郭を教えてくれる
秋冬の一着を考え始める今
新しいものを見ることと同時に
手元にあるお気に入りにも目を向けたい
The My Wayでは
秋冬のスーツ
ジャケット
パンツ
コートなどのご相談を承っています
まだ何を作るか決まっていない方も
生地を見ながら一緒に考えていきましょう
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