言わなければ始まらない
長年兄と慕っている
アパレル関係の先輩と話していた時のことです
やってみること
提案してみることをやらないとわからない
こちらが勝手に決めつけていても
お客様には刺さるかもしれない
まずは言ってみる
言わなければ何も始まらない
その言葉がずっと残っています
服の仕事をしていると
お客様のことを考えているつもりで
こちらが先に
答えを決めてしまうことがあります
これは好みではなさそう
これは必要ないだろう
ここまで提案すると
負担になるかもしれない
気遣いのようでいて
ただ提案する勇気が
足りていないだけの時もあります
もちろん相手の話を聞かずに
一方的に勧めることとは違います
何を大切にしているのか
どんな場所で着るのか
今までどんな服を選んできたのか
そこをきちんと聞いた上で
自分ならこう考えるという一歩を出すこと
それが仕立てる側の役目だと思います
提案は必ず採用されるものではありません
最初から自分の理想を
はっきり言葉にできる方ばかりではありません
何となく変えたい
今までと違うものも気になる
でも何がいいのかはまだ分からない
そんな段階で来られる方も多いはずです
その時に必要なのは
無難な答えだけを用意することではなく
なぜその選択肢を
見てほしいと思ったのかを伝えることです
生地の表情
肩まわりの見え方
着る場面とのつながり
理由が分かれば
提案を受ける側も
自分で選びやすくなります
でも言葉にしなければ
お客様が持っている
まだ言葉になっていない希望にも触れられません
昨日はパリから戻られたお客様から
めちゃくちゃ良かったという言葉と
写真をいただきました

遠く離れた場所で過ごした時間の中に
The My Wayで仕立てた一着があったこと
そのことを写真と
一緒に伝えていただけたことが
とても嬉しかったです
一着が完成した時点で
仕立てる側の仕事が
終わるわけではありません
実際に着ていただき
その方の日常や
旅や大切な場面の中でどう感じられたか
そこまで知ることで
次の提案に必要な視点が増えていきます
選ばれなかった提案にも意味があります
そこに違和感があったのか
それとも少し迷いがあったのか
会話を重ねることで
その方が本当に求めているものが
見えてくることがあります
提案には正解がありません
だからこそ相手の反応を怖がって
最初から可能性を
狭めないようにしたいと思います
少し意外な生地
普段は選ばない形
今までとは違う着方
その人のためになると思う理由があるなら
きちんと言葉にしてお伝えする
選ぶのはお客様です
だからこそこちらは
決めつけずに選択肢を示し
その選択が
どんな時間につながるのかまで
考えておきたいと思います
一着を仕立てる前の会話にも
完成後の満足につながる
大切な仕事があります
ただ選択肢を出すことまでやめてしまったら
新しい一着が生まれるきっかけもなくなります
言わなければ始まらない
先輩のその言葉を忘れずに
今日も目の前のお客様と向き合います
服を通じて新しい一歩をつくれるように
丁寧に提案を続けます
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